研究課題/領域番号 |
19K23980
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 敏夫 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70771856)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
キーワード | 肺線維症 / 内皮間葉転換 / ミトコンドリア / 酸化ストレス / 形質転換 / 血管内皮細胞 / Pulmosphere / 癌微小環境 |
研究実績の概要 |
まず、冷凍保存してある肺線維症患者肺と健常ドナー肺体よりミトコンドリアを単離し、Sirt3発現量の比較を遺伝子・蛋白レベルで行った。肺線維症においてSirt3発現が低下しており、肺パラフィン切片を用いた免疫染色でもそれが明らかになった。 次に、Sirt3の脱アセチル化ターゲットである抗酸化遺伝子のIDH2とSOD2の発現について、肺線維症患者肺と健常ドナー肺検体でウエスタンブロッティング法を用いて検討した。肺線維症においては、Sirt3減少に伴い、抗酸化遺伝子活性の低下を認め、それにより細胞内のROS上昇が観察された。さらに、Sirt3遺伝子発現が肺血管内皮細胞のミトコンドリアDNAの傷害の程度に関与しているかについて検討を行った。具体的には、siRNAでSirt3をノックダウンした肺血管内皮 細胞をH2O2で刺激した後、細胞を回収し、ミトコンドリアDNAをリアルタイムPCRを使って増幅・定量を行い、現在データ検証中である。また、Sirt3遺伝子発現が肺血管内皮細胞のEndMTに与える影響について検討を行った。我々の既報の通り、H2O2でヒト肺血管内皮細胞にEndMTを誘 導できる事は証明できている為 (Suzuki T, et al. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2016)、同様の刺激をsiRNAによってSirt3 をノックダウンした細胞にも与え、コントロール細胞と比較した。Sirt3-siRNAによってミトコンドリアDNA損傷が増加し、 EndMT発生率も上昇した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の所属機関異動はあったものの、当初予定していた研究計画はおおむね予定通り遂行できている。
|
今後の研究の推進方策 |
肺線維症モデルを適用した血管内皮特異的Sirt3ノックアウトマウス及びSirt3 過剰発現マウスの解析と肺線維症ヒト肺検体から作成した3D-pulmosphereを用いた検討 を令和2年度に実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者鈴木敏夫は2019年9月に前所属先である千葉大学から筑波大学に異動となったため、異動後、直ちに研究活動を開始させることができず、一部の予算について次年度繰り越しとなった。2019年度はin vitroの実験を優先させ、令和2年度よりin vivoのお金を要する実験を開始するので、トータルとして使用する金額に変更はない予定である。
|