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体を構成する細胞が、ライフステージに伴う生理変化にどのように適応するかという問題は、生命医学領域における重要な研究課題である。近年、妊娠期に乳腺、神経、造血系、表皮など、母体の様々な組織の幹細胞が活性化し増殖・分化することが、所属研究室を含む複数の研究室から報告された。このような組織幹細胞を含む細胞のふるまいは、母体の生殖機能や胎児の発生に重要であると考えられるが、その制御機構や生理機能は不明な点が多い。そこで、本研究課題では、妊娠期の肝臓に焦点を当て、各ゾーンの肝細胞が増殖するメカニズムおよび、その生理学的意義を明らかにすることを目的とした。
性質の異なる各Zone肝細胞の増殖プロファイルを検証するためAAV8-Creとレポーターマウスを用いて、肝臓全体で肝細胞をスパースラベリングし、細胞系譜追跡実験を行った。その結果、各Zoneの肝細胞が妊娠期の進行と共に異なるタイミングで増殖していることが明らかとなった。
これらの肝細胞の増殖メカニズムを明らかにするため、また、妊娠期における各Zone肝細胞の代謝状態の変化を遺伝子発現レベルで明らかにするため、各Zoneの肝細胞を顕微鏡下でレーザーを用いて切り出し、RNA-Seq解析を行った。その結果、妊娠期の前半と後半で肝細胞において異なる遺伝子発現プロファイルが観察された。
今後はこれらの遺伝子発現の変動が肝細胞の増殖、妊娠中の母体および発生中の胎児に与える影響について検証していく。
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