まず,既存の報告にあるように,マウス―マウスの同種移植の系においてジメチルフマレートを移植片対宿主病(GVHD)予防薬として用いて治療する実験を行ったが,既存の報告と同じマウスとジメチルフマレートの投与量を用いても,生存の延長には至らなかった. 次に,ヒト単核球を移植した異種移植のNOGマウスの生存を延長させるモデルを作成したところ,生存を延長させることに成功した.
In vitroのヒト単核球を刺激してジメチルフマレートを投与する実験では,ジメチルフマレートは濃度依存性にヒト単核球のKi-67の発現とIFN-γの発現を抑制するとともに,PD-1の発現も抑えることが分かった.また,ヒトCD4T細胞を刺激して培養し,ジメチルフマレートを作用させると,解糖ストレステストでECARがジメチルフマレートの濃度依存的に低下することを確認した.また,アポトーシスアッセイを行うと,ジメチルフマレートを作用させた活性化T細胞のほうがアポトーシスが増加するものの,10%前後であり,この解糖系が低下する現象が,単にアポトーシスが起きているだけでないことも確認している.
現在は,In vivoの系にて,生存を延長させる機序の解明を行っている.フローサイトメトリの解析では,ジメチルフマレートは,異種移植のマウスモデルにて,ヒトT細胞をCD4優位に抑制することが分かった.フラックスアナライザーなども行い,さらなる解析を進めている.
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