研究実績の概要 |
神経線維腫症2型(NF2)は脳腫瘍が多発する予後不良な遺伝性疾患で、現在でも根治治療法が存在していない。NF2遺伝子の生殖細胞変異により細胞増殖カスケードが抑制機能を失うことが原因とされている。このカスケードを標的にした既知の分子標的治療薬は根治的ではなく、よってNF2腫瘍増大の分子基盤を解明や、新しい分子標的の探索が急務である。我々はこれまでに本邦で初めてNF2に関する網羅的遺伝子解析を行い、非腫瘍細胞のNF2変異、すなわち腫瘍微小環境がNF2関連腫瘍の増大に強く影響している可能性を発見した。本研究の目的はNF2関連腫瘍の腫瘍免疫に関する免疫ゲノム解析・マルチオミクス解析から、腫瘍内の細胞分画や微小環境の評価を通じ、NF2関連腫瘍増大の分子メカニズムを解明することである。 (A)腫瘍凍結検体RNA抽出及びRNA-seq. (2019年度中):2019年度中にNF2患者、NF2モザイク患者、非NF2患者の聴神経腫瘍凍結検体をそれぞれ10検体ずつからRNAを抽出する。またRNAシークエンスは外注する>RNAシークエンス32検体が終了している。 (B)RNA-seq.data解析(t-SNE法, CIBERSORT, xCell)による腫瘍内細胞分画評価(2019-20年度中):2019年途中からRNA-seqデータが得られ次第、それぞれの解析ツールを用いて腫瘍内細胞分画を評価する。2020年度中には解析を終了する。>解析データから予定通り、tSNE, PCA, GSEA, hearmap, CIBERSORT, xCell, ESTIMATE, ssGSEAにて腫瘍微小環境を解析した。また得られた解析結果を32検体に対する免疫染色を行った。 臨床データおよびgermlin NF2 mutation status, 腫瘍のmRNAデータ、免疫染色の結果を用いて現在論文を作成中である。
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