本研究の目的は多点感覚伝導路同時イメージング技術の開発し、透明化技術による三次元形態イメージング技術と組み合わせることで末梢感覚機能障害後の中枢回路再編を経時的に解析することで感覚情報の再統合メカニズムを解明することである。 初年度は感覚中枢におけるイメージング窓作成を行った。聴覚皮質、嗅球、視覚皮質の直上の頭蓋骨をカバーグラスに置換することで3領域同時に観察できるイメージング窓を作成できた。一方、第四脳室直下に存在する前庭神経核イメージング用にGRINレンズを検討している。イメージング窓の成功率は6割(6/10匹)程度と低く更なる検討が必要である。 一過性末梢感覚障害モデルとして強大音暴露(聴覚)、薬剤性(嗅覚・前庭)、眼瞼縫合(視覚)の検討を行った。4 kHzオクターブバンドノイズ(121 dB SPL)4時間での強大音暴露により2週間後に聴覚脳性反応(ABR)とリボンシナプス数が正常化することを確認した。メチマゾールの腹腔内投与後1週間で嗅上皮の再生していることを確認した。現在、一過性前庭障害については条件検討中、視覚に関してはintrinsic optical imagingによる視覚野イメージングにて脳領域の決定を行う予定である。 来年度は一過性末梢感覚障害モデル、感覚中枢イメージング法を確立した後、回路再編の経時的変化について解析を行う予定である。
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