研究課題/領域番号 |
19K24029
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
中村 圭吾 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50848380)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 鼻腔洗浄液 / エクソソーム / リキッドバイオプシー / タウ蛋白 / アミロイドβ |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病は、初老期から老年期に起こる進行性の認知機能障害を特徴とする疾患で、今後も確実に増加することが予想される。本研究は鼻咽腔の洗浄液を利用したアルツハイマー病の低侵襲な早期診断法(リキッドバイオプシー)の開発を目的としている。 平成31年度は倫理審査委員会の承認を得て、鼻腔洗浄液の検体収集を開始することができた。同意を得た対象者の鼻科手術の際に、生理食塩水による洗浄を左右の鼻腔で行い、それぞれ回収保存した。鼻腔洗浄液中のエクソソーム濃度をELISA法で測定すると、全サンプルに測定可能なエクソソームが含まれることが分かった。エクソソームが含有する蛋白を検出するために、市販のキットを用いてエクソソーム濃縮とエクソソームの含有する蛋白の抽出を試みている。次に、同じ鼻腔洗浄液サンプルを用いて、中枢神経系の神経細胞が発現するとされる総タウ蛋白を測定した。半数以上の検体で総タウ蛋白が検出された。このことから中枢神経系の蛋白が鼻腔に漏出している可能性が示唆された。また、同じ検体中のアルツハイマー病特異的な蛋白についても測定を開始した。検体は神経疾患患者でなく鼻副鼻腔疾患患者のものであるため、検体数を増やして、年代による変化などについて今後検討したい。また、中枢神経由来の他の蛋白についても測定する項目を増やしていきたい。中枢神経由来の蛋白の検出方法やエクソソームの測定・濃縮・溶出方法について効率の良い方法を検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鼻腔洗浄液の収集を開始することができた。また、検体中のエクソソームや各蛋白の測定も開始することができた。 神経細胞由来の蛋白測定において、当初予定していたキットがうまく使用できないことが分かった。 コロナウイルス感染症の広がりの影響で検体の採取が途中で不可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
検体採取の再開時期は不明であるが、現在保有する検体については十分あるため、各蛋白の測定方法やエクソソームの検出・濃縮・溶出方法についてさらに検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額は次年度の消耗品購入に使用したい。
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