研究課題/領域番号 |
19K24035
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山口 一行 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 医員 (80848317)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | マクロファージ / がん / PHD阻害薬 / 低酸素誘導因子 |
研究実績の概要 |
悪性腫瘍内は低酸素環境下にあり、転写因子である低酸素誘導因子(HIF)が恒常的に活性化することで、がんの進展や転移に関わっている。また、腫瘍内に存在するマクロファージ(Mφ)は腫瘍の増殖や転移を促進しがん患者の生命予後に関与する一方、免疫細胞として作用すると腫瘍進展の抑制にも関わるとされる。 申請者らは腫瘍移植モデルマウスにプロリル水酸化酵素阻害薬(PHDi)を投与することでHIFおよび腫瘍内Mφの活性化が誘導され、腫瘍増大の抑制が生じることを確認している。 本研究の目的は腫瘍内MφにおけるHIF発現の有無が腫瘍内Mφの機能に与える影響について明らかにすることである。 本研究ではMφ特異的にHIF-1、HIF-2欠損およびHIF-1、HIF-2過剰発現マウスを作製した。Mφ特異的にHIF-1、HIF-2を欠損、過剰発現させることで腫瘍増殖へ与える影響を検討し、Mφ内のHIF-1およびHIF-2が腫瘍増殖に関与していることを明らかにした。当初の研究予定よりも進捗しており、現在腫瘍内Mφの評価・解析を行うとともに、腫増殖抑制に関わる腫瘍内Mφ中のHIF下流分子を同定するための研究を行っている。腫瘍増殖抑制因子を同定後は、さらに抑制因子の検証を行う予定である。 HIFを介して腫瘍内Mφが活性化する機能を明らかにするとともに、腫瘍内Mφ活性化に関与する分子を同定することで新規抗悪性腫瘍薬の創出につながると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた遺伝子改変マウスの作製が完了し、現在遺伝子改変マウスにおける腫瘍増殖の評価・検討を行うとともに腫瘍内Mφの評価解析を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在シーケンスを行うことで腫瘍内Mφにおける腫瘍増殖抑制に関わるHIF下流分子の同定を行っている。また、遺伝子改変マウスにおける腫瘍内Mφの評価・機能解析を行うとともに腫瘍増殖抑制に関わるHIF下流分子の同定後は、同定した腫瘍増殖抑制因子の検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シーケンサーを現在行っているが、該当する実験が年度をまたいだ実験となったため。
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