研究課題
<研究目的>多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は無排卵性不妊の女性の80%を占めるが、その卵胞発育障害の病態は解明されておらず、特異的な治療法はない。PCOS卵胞ではマクロファージが多く存在しており、免疫学的因子の関与が考えられる。神経ペプチドであるNeuropeptide Y (NPY)は、非肥満PCOS女性の血中濃度が高いことが知られており、NPYのPCOSへの関与が考えられる。応募者は、NPYが早期胞状卵胞に強く発現していること、NPYが顆粒膜細胞の細胞増殖能とアポトーシスを制御していることを既に確認している。本研究では、①PCOS卵巣でのNPYとNPY受容体の発現制御機構と、②PCOS卵巣でのNPYの機能(卵胞発育の制御と、免疫学的機能)を明らかにすることを目的とする。<結果1>(2019年度)24時間のアンドロゲン刺激(in vitro)では、NPYおよびNPY受容体発現は変化しなかった。<結果2>(2019年度)1ヵ月の高アンドロゲン刺激(in vitro)により、NPYおよびNPY受容体発現は変化した。<結果3>(2020年度)DHTを1ヵ月間投与(in vivo)した幼若ラットより、卵巣を摘出し、顆粒膜細胞を分離した。分離した顆粒膜細胞を、NPYで刺激(in vitro)し、アポトーシスおよび細胞増殖能を、TUNELアッセイとKi67の細胞免染で評価した。DHT投与の有無により、アポトーシスのパターンは変化した。<結果4>(2020年度)ヒト卵胞液をIVF患者より採取し、NPY濃度をELISAで測定した。PCOSの有無、血清AMH、BMI、年齢といった患者背景で解析をした。現在解析中である。以上より、卵巣顆粒膜細胞のNPYに対するアンドロゲンの作用は、長期的なものが考えられた。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件)
Mol Hum Reprod
巻: 27 ページ: 1-13
10.1093/molehr/gaab003
Endocrinology
巻: 161 ページ: 1-13
10.1210/endocr/bqaa015