研究課題
スタートアップのため科研費の交付からまだほとんど時間がたっておらず、マウスの研究については現時点では研究環境を整えている段階である。また、タイムラプスを用いてヒト受精卵の動態の解析を行う前に、精子の運動性に異常をきたして受精障害を引き起こすヒト症例を経験したため、まずそちらに注力して解析を行った。ヒト精子鞭毛のfibrous sheathが欠損することで精子の運動が障害され、結果として受精障害を引きおこすことから通常の媒精では妊娠できず、顕微授精を必要とする。fiborus sheathを欠損する精子は、精液所見を測定すると運動率を含めて正常な数値を呈するが、光学顕微鏡を用いて精子一匹一匹を観察すると明らかに精子尾部が細い異常な様相を呈する。今回その精子を電子顕微鏡を通じて観察し、鞭毛の外周を形成するfibrous sheathが欠損することで通常の精子と比べて鞭毛が細くなることを確認した。さらに、今後の受精卵の動態解析の前段階として精子の動きに着目して観察し、鞭毛が細くなることで途中で分断されやすくなり、鞭毛が短くなることで結果として動きに異常がでることを確認した。さらに、顕微授精をした胚をタイムラプスを用いて観察し、現状知られている通常の胚と比べて分割に到るまでの時間を検討し、通常の胚と大きな差がないことを確認した。これらの結果をまとめ、責任著者としてTranslational Andrology and Urologyに報告した。
3: やや遅れている
マウスの研究については、Covid-19の影響でマウスの購入ができず遅れている。ヒトタイムラプスについての研究については、一本論文を報告した。
Covid-19のためかなり遅れる可能性がある。周囲の環境を整えることを優先して行う。
Covid-19のため研究が制限されていることから次年度に繰り越しが必要
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Translational Andrology and Urology
巻: 9 ページ: 800,806
10.21037/tau.2019.12.14