研究課題/領域番号 |
19K24061
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
原園 陽介 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (90845364)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | microRNA / 口腔がん / EMT |
研究実績の概要 |
がん治療において、分子標的治療薬などの薬剤適応あるいは腫瘍マーカーの開発が近年急速に進んでいるが、口腔がんにおいては適応となる薬剤や診断マーカーが非常に限定的である。申請者は、上皮-間葉転換(EMT: Epithelial Mesenchymal Transition)に着目して確立した独自の機能的探索モデル系を構築し、新規EMT抑制性microRNAとしてmiR-655を同定し、がん細胞における浸潤能抑制作用や、食道扁平上皮癌検体におけるmiR-655発現と予後の相関を示した。血清中のmiR-655の測定による診断マーカーとしての臨床応用が食道扁平上皮癌において進められていることから、本研究ではmiR-655の口腔がんへの適応を評価する。これまでの研究では膵臓がんを中心とした細胞株を用いてmiR-655の効果を検証してきたが、これを口腔がん細胞株(HSC2/3/7)に導入し、EMT抑制能をmigration assay、invasion assayなどを用いて評価した。ただし立案した仮説を裏付ける結果は見い出せず、現在細胞株の種類を増やして(TSU,HOC-313,KOSC-2などを加えて)検証中である。また、東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンターで保有する、詳細な臨床情報を伴った癌部・非癌部のそろった口腔扁平上皮癌検体においてmiR-655発現を評価し臨床病理学的因子との相関性を検討するために、倫理委員会承認の準備を進めている。同じく疾患バイオリソースセンターにて保有する口腔癌患者の血漿検体中の遊離miR-655を測定するべく、倫理委員会の承認や、健常人サンプルの収集などの準備を行っているが、これらの準備がコロナ感染症による度重なる緊急事態宣言によって、遅れている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
膵臓がん細胞株でのin vitroの実験結果が口腔がん細胞株で再現できていない状況である。口腔がん細胞株の種類を増やし(TSU,HOC-313,KOSC-2など)、miR-655の発現ステータスを把握した上で実験を行うも、やはり仮説通りの結果が得られなかった。 またコロナウイルス感染症蔓延による度重なる緊急事態宣言にて、研究自体が制限されたため、上記in vitro研究に加えて、疾患バイオリソースセンターにて保有する口腔癌患者の検体測定のための準備も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)詳細な臨床情報を伴った癌部・非癌部のそろった口腔扁平上皮癌検体においてmiR-655発現を評価し臨床病理学的因子との相関性を検討する。(2)疾患バイオリソースセンターにて保有する口腔癌患者の血漿検体中の遊離miR-655を測定する。(1)(2)の施行のために、コロナ感染症による緊急事態宣言にて遅れていた、倫理委員会の承認や健常人サンプルの収集などの準備を速やかに行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた細胞レベルでの実験の進みが遅れている。遅れ分の試薬費用等が次年度分に繰り越されている。また、東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンターで保有する、詳細な臨床情報を伴った癌部・非癌部のそろった口腔扁平上皮癌検体においてmiR-655発現を評価し、口腔癌患者の血漿検体中の遊離miR-655を測定するための試薬費用も繰り越されている。
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