研究実績の概要 |
本研究では治療方針についてまだ明確なコンセンサスの得られていないインプラント周囲炎に関する研究を行っている。2020年度では、使用する骨補填材の検討として、大型動物を用いて、分極化したβ-TCPを歯槽骨内に移植した際の影響に関して検討を行い、研究成果の報告を行った(Nohara K, Fukuba S et al. J BiomedMater Res 2020.)。本研究結果では、分極化を与えたβ-TCPは、より早期に新生骨への置換することを示した。またインプラント周囲炎治療に適した骨補填材の検索として、人工骨の各製品における特徴や性質を把握するために、市場で手に入る人工骨骨補填材に関して網羅的な解析を行った(Fukuba S et al. Materials.2021)。本解析により各人工骨骨補填材製品の特徴を把握し、インプラント周囲炎治療の際に適した人工骨の検討を行うことができた。またインプラント周囲炎治療に応用を検討しているFGF-2について、歯周組織再生のみならず、歯槽骨への影響を検証するため、FGF-2の顎堤保存術への有効性の検討を行い、研究成果の報告を行った(Fukuba S et al. J Periodontol Res 2020.)。本研究結果では、FGF-2は歯周組織のみならず顎堤保存においても有効であることが示された。これらの研究結果をもとに絹糸結紮による実験的インプラント歯周炎に対する様々な骨補填材の炎症抵抗性を比較するため、研究を行なった。本研究結果では、自家骨および異種骨間で実験的インプラント周囲炎による歯周組織破壊の程度に差が認められないことが示された。本研究内容は学会報告予定であり(第64回春季日本歯周病学会演題発表)、国際誌への論文投稿中である。
|