研究課題/領域番号 |
19K24071
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 浩史 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10848253)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | ヒアルロン酸 / HAS2 / 軟骨細胞 / 下顎骨 |
研究実績の概要 |
小顎症は咬合異常や審美障害のみならず、気道閉塞によって生死に関わる重大な疾患である。下顎骨は分子生物学的に多様な制御を受け、複雑な成長様式を示している。そのため、小顎症の発症メカニズムに関しては不明な点が多い。近年、四肢特異的にヒアルロン酸合成酵素2(HAS2)をノックアウト(KO)したマウスにおいて、関節軟骨の形成異常により四肢の著しい短縮を認めることが明らかになった。下顎骨の成長過程において、下顎頭は四肢と同様に内軟骨性骨形成の成長様式を示す。そこで本研究では、顎顔面領域に特異的なHAS2 KOマウスを作製し、下顎骨の形成を三次元形態学的・病理組織学的に解析することで、下顎骨の形成過程におけるヒアルロン酸の役割を解明することを目的とした。 HAS2 のKOマウスは胎生9.5日(E9.5)頃において心臓の形成不全により胎生致死である。そのため、軟骨特異的なコンディショナルノックアウトマウスの作成が必要である。Col2a1-CreERT2 は軟骨細胞特異的Creとして広く用いられており、タモキシフェン誘導性であるため、部位特異的かつ時期特異的にKOすることが可能である。 現在、解析に必要なマウスの個体数を確保するために、Col2a1-CreERT2 マウスとHas2 floxマウスの交配を進めている。また、タモキシフェンの投与時期、濃度、回数等のタモキシフェン誘導の至適条件の設定を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、タモキシフェン誘導性軟骨細胞特異的(Col2a1-CreERT2 )Has2 cKO マウスの作製中である。 解析および至適条件の確立のためには十分な個体数の確保が必要であり、Col2a1-CreERT2 マウスとHas2 floxマウスの交配を進めながら、タモキシフェンの投与時期、濃度、回数等の実験条件の検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
Col2a1-CreERT2 Has2 cKO マウスの形態学的ならびに組織学的解析 作製した軟骨細胞特異的なHas2 cKOマウスを、様々なステージ(E12.5~E17.5, P0, P7, P28)で解析する。採取したサンプルは骨格標本を作製し、形態学的な解析を行う。また、マイクロCTを撮影し、下顎骨の相同モデルを作製、三次元的にどの部位に変化が生じているかを立体構造解析する。さらに変化が見られた部位の組織切片を作製し、下顎の形成過程をHE染色や免疫化学染色、in situ hybridization等により、病理組織学的に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で、3月に参加予定であった学会が中止となったため。 次年度の学会開催も未定であるため、消耗品(試薬)の購入費として計上する。
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