溶液からの薄膜生成法はコスト的にも優れた方法であるが,加熱過程を経る為に樹脂基材へのコーティングが不可能,分解過程の制御が困難で所望の結晶相が得られない可能性があるというデメリットがある.金属有機溶液を基板に塗布し,加熱過程を経て薄膜を形成する手法が一般的であるが,熱の代わりに紫外レーザー照射を行う手法も開発されているものの赤外レーザー応用の報告は殆ど存在しない.本手法はこれらの問題を解決すると共に,プラスチック基板等への低温を可能とする技術である.また,酸化物結晶の制御が可能であり,赤外レーザーにより特定の結合を切断,逐次的な分解反応による酸化物の価数や配向性を制御できる可能性がある.
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