研究課題
〈目的〉 咬合不調和は交感神経活動を増加させ、心機能の恒常性を阻害することが報告されている。また、レニンアンジオテンシン系(RAS)阻害剤であるカプトプリル(Cpt)は、心臓リモデリングに対する抑制効果をもつ有用な心不全治療薬である。我々は、歯科用レジンをマウスの下顎切歯に装着したマウスモデル(Bite-opening; BO)を用いて「Cptは咬合不調和により誘発される心筋の線維化を予防する」という仮説をたて、その検証を試みた。〈方法〉 雄性マウス(C57/BL6)、対照群、BO群、Cpt(0.1g / Lを含む飲料水)、Cpt + BOの4群に分け、BO処置2週後、心筋を摘出し、体重、筋重量、心エコーにより心機能を調べた。組織学的解析として、線維化領域の計測のため、Masson trichrome 染色、アポトーシスの割合の計測のため、TUNEL染色を行った。〈結果〉 心肥大の程度(心筋重量(mg)/脛骨長(mm))は、有意差が観察されなかった。心エコーを用いて心機能を評価したところ、対照群と比較してBO群で有意に減少したが、(P<0.01)、Cptの併用によりBOによる心機能低下は有意に抑制された。Masson trichrome 染色において、線維化の割合は、 BO群で有意に増加(Control vs. BO 1.12+0.55 vs. 3.56+0.64%, P<0.01, n=4) し、 BO+ Cpt群では、その効果が抑制された。TUNEL染色における線維化の割合も BO群で有意に増加 (Control vs. BO 0.01+0.11 vs. 5.31+1.04%, P<0.01 n=6) し、BO+ Cpt群ではその効果が抑制された。〈結論〉以上の結果より、BOによる心筋の線維化はRASの活性化を介して誘発される可能性が示唆された。
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10.1016/j.job.2021.10.001