研究実績の概要 |
ALSモデルマウス (SOD1-G93A) を使った神経生理学的な研究によって、咀嚼運動の制御に関わる一次感覚ニューロンの発火異常(野生型マウスと比較し、ALSモデルマウスでは、ナトリウム電流が有意に減少されていることによる、発火活動の過剰抑制が認められた)が乳幼児期より発現することを報告した (Seki et al., J Neurosci 2019)。 ALSモデルマウスを使った行動研究では、開閉口運動のサイクル (咀嚼サイクル) に注目、進行期ALSモデルマウスでは、咀嚼サイクルが延長すること、咀嚼障害の進行と体重減少に強い相関関係があることを報告した(北岡,関ら, 日本口腔外科学会2020)。 乳幼児期ラットを用いた生理学的研究では、脳内生理活性物質であるニューロペプチドY (NPY) やオレキシンA (Ox A) が、咀嚼運動の制御に関わる三叉神経中脳路核ニューロンの発火を促進させることを報告した(Seki et al., J Neurosci Res 2020)(Tanaka et al.,Neuroscience Letters 2021)。さらに第24回口腔顔面神経機能学会学術大会にてNPYの神経修飾作用について報告、最優秀賞を受賞した。現在ALSモデルマウスの咀嚼障害がいつ頃どのように出現するのか判定するため、AI(SSDを用いたデープラーニング)により咀嚼障害鑑別を試みている。
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