研究課題/領域番号 |
19K24126
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
柳沼 樹 佐賀大学, 医学部, 医員 (60845064)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | MRONJ / BMP-3b / GDF10 / 乳がん / 骨転移 |
研究実績の概要 |
日本において乳がんは増加傾向にあり、骨転移が多い乳がん患者は骨関連事象を予防するためBP製剤を含む骨吸収抑制薬を使用している。しかし、この骨吸収抑制薬による顎骨壊死が歯科領域では問題となる。そのため、乳がんの骨転移のメカニズムの一端を明らかにすることは重要である。 癌細胞が浸潤や転移する際に、上皮間葉移行(EMT)が関与することが知られる。BMP-3bはEMT誘導因子であるTGF-βのスーパーファミリーに属するサイトカインであり、様々ながんとの関連が報告されているが不明な点が多い。 まず、予備研究として乳がん患者にデータベース解析を行いBMP-3bと生存率を検討したところ、BMP-3bの発現が高い患者において生存率が有意に高いことが明らかになった。 そこで、研究実地計画の通りにヒト乳がん細胞株MCF-7およびマウス乳がん細胞株4T1を用いたin vitro実験を昨年度は行った。乳がん細胞株におけるBMP-3bと増殖能、乳がん細胞株におけるBMP-3bと移動能、乳がん細胞株におけるBMP-3bと上皮性、3項目について検討をした。乳がん細胞株におけるBMP-3bと増殖能においては、コントロールに比べBMP-3bで刺激した細胞の方が、有意に細胞増殖の低下を認めた。次に、乳がん細胞株におけるBMP-3bと移動能については、コントロールに比べBMP-3bで刺激した細胞の方が、有意に細胞移動能の低下を認めた。次に、乳がん細胞株におけるBMP-3bと上皮性については、コントロールに比べBMP-3bで刺激した細胞のタンパクにおいて上皮マーカーの発現上昇、間葉マーカーの発現低下を認めた。以上より、BMP-3bは、乳がん細胞の細胞増殖能・移動能を抑制し、上皮細胞の性質を保持する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vitroのデータに関して概ね収集できているため。
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今後の研究の推進方策 |
BMP-3bのコンベンショナルノックアウトマウスに乳がん細胞を播種し、宿主因子のBMP-3bが乳がん細胞の骨転移に与える影響を検討し、今年度中に論文としてまとめ上げてしまうことを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、新型コロナウイルスの影響で物品の納品の遅延があげられる。 使用計画としては、今年度からのin vivo実験を行うための必要な実験費、新型コロナウイルスが落ち着くのであれば学会参加費等に使用予定。
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