ヒト乳がん細胞MCF-7とマウス乳がん細胞株4T-1をBMP-3b(GDF10)で処理したところ,いずれの細胞においても増殖や移動能が有意に低下した.さらに,それぞれの細胞にBMP-3bを添加すると上皮細胞マーカーであるE-cadherinの発現量が増加し,それとは逆に間葉系細胞のマーカーであるVimentinの発現量が低下した.BMP3bはまた,TGF-βで誘導したリン酸化Smad3の発現量を減少させた.以上から,BMP-3bは上皮間葉移行を誘導することで有名なTGF-βシグナルを制御し,その結果,乳がん細胞の増殖や移動を抑制していると考えられた.
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