研究実績の概要 |
我々は,MRONJの発症メカニズムを明らかにすることを目的に,MRONJモデルマウスの構築・評価,および遺伝子改変マウスを用いた解析を実施してきた.具体的には,昨年度, 8週齢雌マウスに,3週間,1週間に2回のzoledronate (Zometa; Novartis, Stein, Switzerland) (0.05mg/kg) の皮下投与と, cyclophosphamide (C7397; Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA) (150 mg/kg) の腹腔内投与を行い,薬剤の投与開始3週間後に上顎左右の第一臼歯の抜歯を行うと,抜歯窩は治癒することなく,抜歯窩の周囲骨が壊死様変化をすることを確認した. 今年度は,間葉系幹細胞が可視化されたCXCL12-GFPマウス,骨芽細胞が可視化されたCol1a1-GFP,破骨細胞が可視化されたTRAP-Tomatoマウスを用いて抜歯窩の創傷治癒過程を解析を行なってきた.大腿骨の骨折の治癒過程においては,CXCL12陽性の間葉系幹細胞が多数観察されたが,抜歯窩の治癒過程においては,抜歯窩にCXCL12陽性の間葉系幹細胞はほとんどが観察されなかった.CXCL12陽性幹細胞は,骨髄形成に重要な役割を担っていることから,大腿骨と抜歯窩の創傷治癒過程におけるCXCL12陽性の間葉系幹細胞の量の違いがMRONJ発生に関わっている可能性が考えられる.今後,これらの違いを詳細に検討していく予定である.
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