我々は,MRONJの発症メカニズムを明らかにすることを目的に,MRONJ様モデルマウスの構築・評価,および遺伝子改変マウスを用いた解析を実施してきた.MRONJ様モデルマウスの抜歯窩は術後4週間経過しても治癒することはなく,抜歯窩の周囲骨が壊死することを確認した.さらに遺伝子改変マウスにおける,大腿骨骨折の治癒過程では,間葉系幹細胞が多数観察された一方,抜歯窩の治癒過程では,間葉系幹細胞はほとんどが観察されなかった.本研究において,幹細胞は,骨髄形成に重要な役割を担っていることから,大腿骨と抜歯窩の創傷治癒過程における間葉系幹細胞の量の違いがMRONJ発生に関わっている可能性が考えられた.
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