頭頸部癌放射線治療中には口腔カンジダ症がしばしば発症する。カンジダ症が発症すると放射線性口腔粘膜炎の治療薬であるステロイド軟膏の使用が控えられるため、口腔粘膜炎の重症化をきたし、患者のQOLの低下や放射線治療の中断を余儀なくされることもあり、口腔カンジダ症の発症予防法の確立が求められている。 本研究ではグレード2口腔粘膜炎が出現した時点でミコナゾール口腔貼付薬を予防的に14日間投与し、唾液中のカンジダ菌の推移をreal-time PCRにより明らかにすること、および本法により実際に口腔カンジダ症の発症を予防することができるか、多施設共同ランダム化比較試験により検証することを目的としている。 その結果、放射線治療中には唾液中の総細菌数には変化はないが、カンジダ菌は有意に増加することが明らかとなった。さらにミコナゾール口腔貼付薬を予防的に使用すると、対照群と比較して口腔カンジダ症の発症頻度が有意に低下するという結果が得られた。今後これらの結果について論文にて公表する予定である。
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