フェーズ1とフェーズ2からなる混合法にて、研究を実施した。フェーズ1の質問紙によるアンケートの回答数は89件、回答率は39.9%であった。フェーズ2において、5名の訪問看護師へインタビューを実施した。参加者の職位は、管理職4名、スタッフ1名である。災害を経験した参加者は、5名中4名であった。逐語録をNVIVO に取り込み、カテゴリー、サブカテゴリー化を実施した。4つのカテゴリ、【事前準備】、【これからの課題】、【管理者としての責任】、【予想しなかった災害の経験】が抽出された。また各カテゴリーから、サブカテゴリ―として【事前準備】からは、《訪問看護と災害看護とのつながり・理解》、《何かあった時のリスクマネージメントは小規模ならでは》、《設置母体と教育の在り方》、【これからの課題】からは、《ステーションの横のつながりの必要性》、《訪問看護と介護の連携と知識の乖離》、《受援の受け方》のサブカテゴリ―を抽出し、【管理者としての責任】からは、《倫理観と正義感》、《災害後の対応》、《心のケアの在り方》のサブカテゴリ―を抽出した。【予想しなかった災害の経験】からはサブカテゴリ抽出はなかった。 広島県内の訪問看護ステーションに勤務する看護職員は、災害準備に関する研修、災害の経験、職域における勤務経験に関して、有意差がある。しかし、組織が小さくスタッフ数も限られている労働環境から災害に対する準備をどのように進めたらよいかわからない、時間がないという組織も半数近くを占めた。訪問看護ステーション同士のつながりも少ないといいうことから、日頃からの地域内でのネットワーク構築や、研修の機会などの提供が必要である。以上の研究結果は、日本災害看護学会での口頭発表に加え、Progress in disaster scienceへの雑誌掲載を最終年度に実施できた。
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