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2020 年度 実施状況報告書

既存健診項目で算出できる脂肪肝指数の健診での実用化に向けた疫学的検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K24174
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

平田 あや  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20845739)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2022-03-31
キーワード脂肪肝 / Fatty liver index / インスリン抵抗性 / 診断能
研究実績の概要

脂肪肝は成人の20-30%に観察され、糖尿病や高血圧発症など動脈硬化性疾患危険因子と関連することが報告されている。しかし、わが国で実施されている特定健診において、現状では脂肪肝の評価は法的項目に含まれていない。そこで本研究は、特定健診の法定項目である中性脂肪、γ-GTP、腹囲、BMIを用いて算出できる脂肪肝指数:fatty liver index (FLI)の健診における実用化に向け、その有用性を検証することを目的として実施している。今年度は昨年度に引き続き、自覚的に健康な都市住民を対象に研究を実施している神戸研究の参加者のうち、75歳未満を対象に簡易のポータブル型超音波診断装置による脂肪肝の評価を行いFLIの脂肪肝診断能を検討した。超音波検査を実施した対象者の合計は101名(男性30名、女性71名)で、年齢(平均±標準偏差)は63.5±6.0歳、FLI(中央値[四分位範囲])は17.2[4.8-21.4]であった。対象者のうち、超音波検査で脂肪肝ありと判定されたのは26名(男性10名、女性16名)で全体の約25%であった。ROC分析によるFLIの脂肪肝診断能を検討した結果、ROC曲線下面積(AUC: area under the curve)は0.75 (95%信頼区間: 0.63-0.87)であった。また、脂肪肝はインスリン抵抗性と強く関連し、インスリン抵抗性を介して糖尿病などの動脈硬化性疾患危険因子と関連すると考えられている。そこでインスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR:2.5以上に対するFLIの予測能を検討するためにROC分析を行った。その結果、FLIのインスリン抵抗性に対するAUCは0.76 (95%信頼区間:0.58-0.93)であった。これらの結果より、FLIは脂肪肝に対して中等度の診断能を示し、インスリン抵抗性に対しても中等度の予測能を有することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナ感染症の影響により神戸研究の調査を中止したため予定していた10回の調査のうち3回のみの実施となった。そのため、簡易のポータブル型超音波診断装置を用いた脂肪肝評価に関して十分なサンプルサイズでの実施ができず、予定していた集団におけるFLIの詳細な検討ができなかった。

今後の研究の推進方策

引き続きFLIの有用性に関する評価を行う。性別や危険因子の保有状況などによる層化を行い詳細に検討する必要があるため、サンプルサイズを増やして検討を行う。今後は神戸研究での腹部超音波検査の実施を予定していないことから既存のデータベースにおける検討を予定している。

次年度使用額が生じた理由

前年度の調査を中止したことによる研究計画の変更が生じたため。次年度は既存のコホート研究のデータを用いた検討を予定している。その際に、凍結保存検体を用いて検討に必要な検査項目を追加で測定する予定であることから測定費用が発生する。また成果を学会発表や査読付学術誌で発表する予定であることから、学会参加費ならびに論文の英文校正料や掲載料が必要となる。

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公開日: 2021-12-27  

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