本研究は、高齢者人口をもとに訪問リハビリテーションの需要を推計し、需要に沿ったサービス提供体制の構築に資することを目的として実施した。 本年度は、全国の市区町村別に65歳以上人口と訪問リハビリテーションの提供施設数について調査を行い、2019年に実施した調査結果と比較しつつ地域格差についての解析を行った。その結果、2023年の訪問リハビリテーション提供施設数は、全国で4968施設(2019年;4307施設)であった。全市区町村(1895自治体)のうち、65歳以上人口あたりの施設数が最も多い地方自治体は5.50施設/千人(2019年;2042施設)、中央値は0.11施設/千人(2019年;0.089)であった。なお、646(2019年;692)の地方自治体は、訪問リハビリテーション提供施設が無い状況であった。全国の市区町村単位での訪問リハビリテーション提供施設数と65歳以上人口のジニ係数は0.367(2019年;0.381)であった。 ジニ係数は値が小さいほど地域格差が小さいことを表すため、2019年から2023年にかけて全国で訪問リハビリテーション提供施設が661施設増加し、市区町村単位での地域格差が縮小していることが明らかとなった。一方で、未だに約1/3の地方自治体は訪問リハビリテーション提供施設が無い状況である。 また、2019年度から2022年度において、全国の都道府県単位での調査、地域を北関東に限定して地域特性に焦点を当てた調査を実施した。これらの結果は一貫して、訪問リハビリテーション提供施設あるいは当該施設に勤務するセラピストの増加が地域格差の縮小に寄与していることが示唆される。
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