2019~2021年度では、非侵襲的ヘモグロビン測定器Pronto(マシモジャパン社)で測定した経皮的ヘモグロビン値(=SpHb値)の信頼性を検証し、血液ヘモグロビン値(=Hb値)に代替可能であるか検討した。調査では、2020年7~9月に女子大学生230名を対象に定期検診の採血日に研究者がPronto測定を実施した。その結果、SpHb平均値13.7±0.9g/dL、Hb平均値13.3±1.0g/dLとなり、両者の相関係数はr=0.489であった。また、相対拡散反射スペクトルにおける760nm波長のピークの有無に関わらず相関がみられた。これらより、女子大学生において、経皮的ヘモグロビン値(SpHb値)は血液ヘモグロビン値(Hb値)の代替可能であると結論づけた。 2022年度では、経皮的ヘモグロビン値を継続的に測定することによる貧血予防/改善の効果を明らかにするために調査を行った。女子大学生12名を対象に初回・1ヶ月後・2ヶ月後の計3回、SpHb値を3回測定してその平均値を算出した。加えて、初回と2ヶ月後に簡易型自記式食事歴法質問票(brief-type self-administered diet history questionnaire:BDHQ)を行い、鉄摂取量を算出した。その結果、初回SpHb値の平均値±標準偏差は、初回12.6±1.2g/dL、1ヶ月後12.4±0.9g/dL、2ヶ月後13.0±1.0g/dLであった。反復測定を行なった結果、有意差はなかった。鉄摂取量の平均値±標準偏差は、初回5.49±2.0mg/日、2ヶ月後5.38±1.4mg/日となり、有意差はなかった。これらより、貧血予防/改善には経皮的ヘモグロビン値の継続的な測定のみでなく、結果を踏まえた保健指導が必要であることが示唆された。
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