研究課題/領域番号 |
19K24185
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
小林 由佳 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際医療協力局, 特任研究員 (80845743)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 冠状動脈性心疾患 / 発症 / 受動喫煙 / 配偶者 |
研究実績の概要 |
海外の研究結果において、受動喫煙と循環器疾患、特に冠状動脈性心疾患の発症・死亡との関連があるとされてきたが、我が国における疫学研究では、冠状動脈性心疾患の発症に関する大規模コホート研究は行われていなかった。受動喫煙と冠状動脈性心疾患の発症に関する大規模なコホート研究は欧米でおこなわれていることが多く、アジアにおける研究はない。また、日本における冠状動脈性心疾患の発症は、欧米と比較すると少ないという特徴があることから、我が国における、受動喫煙と冠状動脈性心疾患を含める、循環器疾患の発症について解析する意義があると考えた。 大規模コホート研究であるJapan Public Health Center-based prospective Study (JPHC Study)の解析により、夫の喫煙による妻への受動喫煙と冠状動脈性心疾患の発症との関連がみられた。対象者は、生涯非喫煙者であり、循環器疾患とがんの既往歴がない日本人女性とした。非喫煙者の夫の妻と比較して、現在喫煙者の夫の妻は冠状動脈性心疾患の発症リスクが増加することが分かった。更に、現在喫煙者の夫の喫煙本数と過去・現在喫煙者の夫のpack-yearについても解析を行い、考察した。他の循環器疾患について調べたが、関連は見られなかった。 本研究は職場や公共の場における受動喫煙の影響は考慮されていないが、家庭内の夫による受動喫煙と冠状動脈性心疾患の発症との関連を見出した。また、本研究は我が国における、受動喫煙と循環器疾患発症に関する初めての研究の為、疫学研究の蓄積に大きく貢献することになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の影響により、研究環境を整えたり、アンケート調査時期が遅れたりした為、研究が遅れた。その為、2020年度末に研究終了の予定を1年間延長する。
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今後の研究の推進方策 |
大規模コホート研究であるJapan Public Health Center-based prospective Study (JPHC Study)の受動喫煙と循環器疾患発症との関連については論文作成中であり、今後投稿を目指す。また、「女子大学生を対象とした受動喫煙回避行動の促進・抑制要因の解明のためのアンケート調査」の研究については、現在解析を行っている段階の為、今後論文作成、投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、出張や国際学会への参加が出来なかった為、次年度使用額が生じた。今年度は、論文投稿における英文校正や投稿料等に使用する予定。
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