研究課題/領域番号 |
19K24190
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
土屋 涼子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (10849201)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | アセスメント / 看護師 / 思考過程 / 熟達化 |
研究実績の概要 |
近年、看護の標準化により誰でも一定レベルの観察やケアの実施が可能となる一方で、看護のパターン化により看護師が思考を必要としない事態が懸念されている。対象である患者の看護問題を正しく導き出すためには、構造化された知識を活用することが必要であるが、新人看護師から一人前、中堅看護師へと習熟段階を経る過程で、どのように思考過程が変化していくのかについては明らかとなっていない。本研究では、看護師が患者の看護問題から援助方法を導き出す際の思考過程、また看護師としての習熟段階による思考過程や内容の特徴を明らかにすることを目的とした。そこで、看護師が看護問題から対象者への援助方法を導き出す際の思考過程を明らかにするために、看護を必要とする人の意向や訴え、健康問題、治療・処置、看護実践等の経過が記載されている看護記録に着目した。そして、看護記録に記載されている看護師のアセスメントの内容やアセスメント結果から看護師が行った援助の内容について研究を行っている。 2019年度は看護師の思考過程を分析する場面として、看護師が脳神経系疾患領域に入院した患者に対して経口摂取開始時に行っている初回嚥下スリーニングの場面を採用した。看護記録から該当する初回嚥下スクリーニングの記載を抽出し、経過記録に記載されているアセスメント内容や看護計画に記載された援助方法についてテキストマイニングの手法を用いて分析を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究者の同僚に病気休暇者が出たことで教育業務が増えたため、当初の予定よりも研究実施のための時間を捻出できなかった。また、COVID-19の感染拡大防止の観点から臨床の看護師に対しての調査実施が困難となったため。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の感染拡大防止の観点から研究方法の変更を行う。 看護師の看護場面での思考過程の実態や習熟段階による差異を明らかにするために、看護師の記載する看護記録の内容を分析する。 1.分析場面:慢性疾患患者に対する患者指導場面、術後の混乱がある患者に対する環境調整場面とする。 2.分析方法:看護記録より分析場面に該当する箇所を抽出し、経過記録や看護計画に記載されたアセスメント内容と援助内容をテキストマイニングの手法を用いて分析する。習熟段階別の比較は、看護記録の記載内容を看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)で比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも研究の進捗状況に遅れがあり、当初予定していた人件費などの支出がなかったため、次年度に繰り越し看護記録の抽出に関する費用、人件費、研究成果の発表のための旅費、英文校正料への使用を予定している。
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