近年、看護の標準化により誰でも一定レベルの観察やケアの実施が可能となる一方で、看護のパターン化により看護師が思考を必要としない事態が懸念されている。対象である患者の看護問題を正しく導き出すためには、構造化された知識を活用することが必要であるが、新人看護師から一人前、中堅看護師へと習熟段階を経る過程で、どのように思考過程が変化していくのかについては明らかとなっていない。本研究では、看護師が患者の看護問題から援助方法を導き出す際の思考過程、また看護師の習熟段階による思考過程や内容の特徴を明らかにすることを目的とした。 本研究では、看護師が看護問題から対象者への援助方法を導き出す際の思考過程を明らかにするために、看護を必要とする人の意向や訴え、健康問題、治療・処置、看護実践等の経過が記載されている看護記録に着目し、記録の分析を行った。2019年度の研究計画後、COVID-19の感染拡大予防のため、2020年度~2022年度は看護記録使用のための打ち合わせを円滑に実施できず、研究遂行の進度に遅れを生じた。2023年度は研究での看護記録使用の許可を医療機関より得て、看護記録の分析を実施した。今後、看護師の習熟段階による思考過程について論文執筆・公表を行う。
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