研究課題/領域番号 |
19K24193
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
萩原 康博 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (60844040)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
|
キーワード | 医療経済評価 / 費用対効果 / マッピング / 効用値 / EORTC QLQ-C30 / EQ-5D / 順序効果 |
研究実績の概要 |
本年度は、医療経済評価を行う際にマッピングにより期待QOL値をバイアスなく推定できる条件に関して昨年度得られた研究成果の論文化を行った。理論研究部分およびシミュレーション研究部分ともに査読の過程で大きな指摘はなく、結果として医療経済評価研究に関するトップジャーナルであるValue in Health誌に掲載された。 上記の成果を活用し、がん特異的尺度であるEuropean Organization for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire Core 30(EORTC QLQ-C30)からEQ-5D-5Lインデックスへの直接・間接マッピングアルゴリズムを開発を試みた。その結果、既存のマッピングアルゴリズムと同等か良好な結果を性能を得ることができた。また、開発した間接マッピングアルゴリズムは、EORTC QLQ-C30からEQ-5D-5Lインデックスへのマッピングアルゴリズムとして、当時世界初のものとなった。この結果は健康関連QOL研究のトップジャーナルのひとつであるHealth and Quality of Life Outcomes誌に掲載された。 加えて、マッピングアルゴリズムを開発する際にはソース尺度とターゲット尺度を同時に測定しなければならないが、ソース尺度とターゲット尺度の測定順がマッピングアルゴリズムに与える影響をがん領域の実データを用いた検討した。その結果、より具体的な質問項目が並ぶソース尺度を先に測定すると、ターゲット尺度で健康状態を悪く評価する傾向があることが分かった。現在この研究成果に関しては、学会発表と論文発表の準備をしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、理論研究、シミュレーション研究、実データ解析の3つのサブ研究からなるが、このすべてに関して論文発表することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究開始当初は予定していなかった、ソース尺度とターゲット尺度の測定順序効果に関する研究を進める。研究立案とデータ解析はおおよそ終了しているが、より細部を詰めて、可及的速やかな研究成果の発表につなげる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行のため、海外学会に参加し情報収集ならびに成果発表を行うことができなかったため。 次年度も海外学会に参加し情報収集ならびに成果発表を行えるかは不透明な情勢であるため、オンライン海外学会や国内学会の参加費や旅費、研究開始当初になかった研究テーマのための文献収集やその研究成果をまとめた論文のオープンアクセス費用などに使用する予定である。
|