研究課題/領域番号 |
19K24196
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永田 優馬 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (90832824)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症 / 重度認知症 / QoL |
研究実績の概要 |
本研究では,重症度特異的なQuality of Life (QoL) 評価尺度を用い,重度認知症者のQoLに影響を及ぼす要因を認知機能と日常生活活動だけでなく,Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia (BPSD),苦痛や施設のハード面などの物理的環境面との関連性を捉えて特定することを目的としていた。R2年度は,重度認知症者用のQoL評価尺度 (QUALID-J) と各変数との関連性を調査することとしていた。 対象者105名に対して、昨年度明らかにしたQUALID-Jの2因子 (expression of comfortとexpression of discomfort) およびQUALID-J総点それぞれを従属変数とし、認知機能、日常生活活動、BPSD、苦痛、物理的環境を独立変数とした重回帰分析を実施した。 その結果、QUALID-J総点を従属変数とした場合にはBPSDと苦痛が寄与した。expression of comfort因子得点には日常生活活動と苦痛が寄与し、expression of discomfort因子得点にはBPSDと苦痛が寄与することが明らかとなった。以上の結果より、重度認知症のQoLにおいて関連する因子を明らかにした。特に、総点および各因子ごとに異なる要因が寄与していることが明らかとなった。また、従来から認知症のQoLにおいては認知機能が慣例的に重要な因子であると示唆されていたが、重度認知症においては重要な因子でない可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年から流行しているCOVID-19の影響により、臨床データの新たな取得が困難となった。ただし、2020年より前の年に多くの対象者からデータを取得していたため、既存の対象者群における分析を実施した。同様に、来年度の進捗も予測がつかない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度では、重度認知症者の縦断的検討のための評価を引き続き行う予定である。ただし、COVID-19が影響し、当初予定していた臨床データの取得が困難となることが予測される。そのため、予定対象者数の見直しや、それに伴う分析方法を変更し対応する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、予定していた国際学会や国内学会への参加を見送った状況であり、未使用額が生じた。また、臨床データの取得にも影響が生じていた。そこで、次年度では共分散構造分析などの新たな分析手法を導入し発表を行うこととし、未使用額はその費用に充てることとしたい。
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