研究課題/領域番号 |
19K24198
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
坂本 陽子 岡山大学, 大学病院, 助教 (80845818)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 終末期医療 / 延命治療 / 胃瘻造設 / 看取りの質 / 意思決定 / 高齢者 / QOL / インフォームドコンセント |
研究実績の概要 |
終末期においては胃瘻造設の対象となる患者の多くは意思決定能力が低下し、家族による代理決定に際しては医師の意向が強く影響している。高齢者への胃瘻造設に関する医師の意向 (胃瘻造設を推奨するのか、差し控えるか) の方針決定は、価値観や裁量によってなされ、また、胃瘻造設に関する認識は医師間で異なっている。本研究の目的は、人生の最終段階における高齢者の胃瘻造設に対する本邦医師の認識について調査し、医師間の認識に差異を生じる背景を明らかにすることである。人生の最終段階における胃瘻造設に対する医師の認識の実態、および課題を明確にすることは終末期における医療の質、看取りの質の向上に寄与できると考える。本研究は岡山大学倫理審査委員会の承認を得て行われる(承認番号:研2004-005)。 研究方法は、全国の医療機関(高齢者を診療している診療科)に勤務する医師に対し、Web上で自己記入式質問表を用いた意識調査を行う。終末期高齢者に対する胃瘻造設を含むAHN(Artificial hydration and nutrition)に関する質問に回答してもらい、集計、記述統計量の算出、ロジスティック回帰モデルを用いた解析を行い、終末期における医療に対する考え方、方針と、属性、医師としての経験、診療科、所属医療機関の種類や規模による差異の有無を検討し、医師間に認識の差異を生じさせる関連要因を探索する。 科研費内定交付後より質問紙作成を行い、アンケート調査会社と委託契約をし、倫理審査承認後よりWebにて全国の登録医師に対し、アンケートを実施した。質問数は属性含め40問で、すでに目標回収数の500人分の回答は回収済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は郵送によるアンケート調査の実施を計画していたが、予算、配布や回収の期間等を考慮し、Web上にての実施へ計画の一部変更を行った。計画の変更に伴い倫理申請書類も変更を行ったため、アンケート調査が予定よりやや遅れて開始となっている。現在、目標回収数の500人分の回収はほぼ終了し、6月中には調査会社からのローデータを取得予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、人生の最終段階における高齢者の胃瘻造設に対する本邦医師の認識について調査し、医師間の認識に差異を生じる背景を明らかにすることである。今後は、回収済み質問表回答用紙を項目毎にまとめたローデータを調査会社より6月中に受領し、解析作業に着手する予定である。記述統計量の算出、ロジスティック回帰モデルを用いた解析を行い、終末期における医療に対する考え方、方針と、属性、医師としての経験、診療科、所属医療機関の種類や規模による差異の有無を検討し、医師間に認識の差異を生じさせる関連要因を探索する。研究成果は日本老年医学学術集会、プライマリケア学会、日本生命倫理学会にて発表を予定しており、その後、論文化し雑誌(国際誌、投稿先未定)への投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート方法を郵送からWeb上での実施へと計画の変更に伴い、当初予定していた、印刷代、送付回収の用紙、通信料、回収後の集計作業にかかる経費等、次年度予算に組み入れていたものを、アンケート調査会社へ一括委託契約を行った。契約時に一括支払いの金額として次年度分も足して支払いを行っている。次年度の予算として計上していた項目は委託作業に含まれるため、今年度は発生しない。残金は解析費用、学会発表、論文作成、投稿費用として予算内に収める予定となっている。
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