研究課題/領域番号 |
19K24198
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
坂本 陽子 岡山大学, 大学病院, 助教 (80845818)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 終末期医療 / 胃瘻造設 / 意思決定 / 高齢者 / インフォームドコンセント / 看取りの質 / アンケート調査 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、人生の最終段階における高齢者の胃瘻造設に対する本邦医師の認識について調査し、医師間の認識に差異を生じる背景を明らかにすることである。今年度はWebアンケートの集計、解析を行った。まず、項目ごとの記述統計量を算出し、次に胃瘻造設を推奨に関し得られた回答を2群に分け説明変数とした多変量ロジスティック回帰分析を行い、オッズ比を算出した。さらに、推奨の是非に有意に関連があるとする項目についてもそれらを説明変数とした多変量解析を行い分析を行った。有意水準は0.05%とした。 [結果]全国の医療機関、老人保健施設の医師546人から回答が得られた。内訳は内科系362人、外科系157人、救急麻酔医27人であった。胃瘻推奨の有無に対するロジスティック回帰分析の結果、医療機関別では診療所・老健の医師は一般病院の医師と比べ、胃瘻推奨のオッズ比が0.54(95%CI:0.27-1.07)であった。診療科別、高齢者の診療経験の有無、頻度での有意差はなかった。胃瘻造設術の実施医療機関に勤務している医師はオッズ比2.01(95%Cl:1.17-3.46)と胃瘻推奨が有意に高い結果であった。また、胃瘻の誤唖性肺炎の予防効果の有無についての認識は、あり58%、なし42%とほぽ半数に分かれ、年齢、医療機関、診療科で有意差があった。ガイドラインを知らない医師は何らかのガイドラインを参考にしている医師と比べて、1.8倍予防効果ありと認識していた。さらに、胃瘻を推奨する医師は差し控えの提示に抵抗を感じる人がオッズ比2.05(95%Cl:1.25-3.36)と有意に高く、差し控えの提示に障壁となる項目では「親族間の意見の相遠」「家族との信頼関係の変化」「法的問題への懸念」が上位を占める結果であった。 上記の解析結果について2021年10月21日開催の第80回日本公衆衛生学会にて演題発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度にアンケート実施がWeb方式へと変更になったことで研究計画書の修正、倫理委員会の再審査等により実施が大幅に遅れ、昨年度の進捗にも影響した。また新型コロナの感染拡大も医師へのアンケート実施の遅れに影響した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度はようやく予定の集計、解析が実施でき、学会発表も行うことができた。現在論文作成中で、2022年度に国際誌に投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響により、アンケート結果のデータセットの作成、集計解析が遅れたため。 使用計画としては、次年度国際誌への論文投稿の予定であり、英文校正費、投稿費用に使用する計画である。
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