研究実績の概要 |
本研究は、人生の最終段階にある高齢者に対する経皮的内視鏡的胃瘻造設術(PEG)に関する日本の医師の背景と認識を調査し、医師の意識の違いを引き起こす要因を明らかにすることを目的とする。 調査方法は、終末期高齢者の胃瘻造設に関するWebアンケートを日本の医師に対し実施した。ロジスティック回帰分析により、PEGの推奨是非と各要因との関連性のオッズ比(OR)および信頼区間(CI)を算出した。計564名の医師が回答しそのうち26%が寝たきりや終末期の認知機能低下した高齢者にPEGを推奨していた。その結果、胃瘻栄養に対する医師の認識の違いが、PEGの推奨、「誤嚥性肺炎予防のメリット」(OR, 4.9; 95% CI, 3.1-8.2 )、「退院先決定への影響」 (OR, 6.1; 95% CI, 1.9-30.9 )、「差し控え提示への抵抗感」 (OR, 1.9; 95% CI 1.3-4.5) と関連していたことが明らかとなった。さらに、関連する背景因子として「PEG造設術実施施設での勤務」(OR, 2.0; 95% CI, 1.2-3.5) が確認された。結論として、終末期高齢者のPEG造設に対する医師の意向の違いは、PEG栄養の影響に対する医師の認識の違いや勤務する施設の特徴と有意に関連していた。終末期における高齢者へのPEGに関する意思決定には、医師、患者、およびその家族間のコミュニケーション過程についてさらなる議論と考察が必要である。上記結果について「Palliative Medicine Reports」に論文投稿し受理された。現在掲載準備段階である。
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