研究課題/領域番号 |
19K24204
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
岩崎 涼子 富山県立大学, 看護学部, 助教 (80846155)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 倫理教育 / 看護倫理 |
研究実績の概要 |
本研究では、我が国の看護系大学における認知症高齢者の看護に関する倫理教育の実態を把握し、倫理教育に最小限必要不可欠な教育内容(ミニマム・エッセンシャルズ)を明確にすることを目指している。 令和4年度は、公立看護系大学における認知症高齢者看護の倫理教育に関するWEBシラバス記載内容を明らかにするとともに、国立看護系大学の結果も踏まえて、倫理教育の課題を検討した。日本看護系大学協議会会員校の公立大学50校について学士課程のWEBシラバス記載内容を対象とし、看護倫理・生命倫理・看護学概論・老年看護学・高齢者看護学・在宅看護学・認知症看護及びこれに準ずる用語を含む全科目を選択した。当該科目の教授内容を精読し、『認知症』の用語に加え、看護に関する13の倫理用語「倫理・倫理的問題(課題)・尊厳/尊重・人権・権利・擁護/アドボカシー・意思決定/自己決定・身体拘束(身体抑制・抑制)・虐待・ジレンマ」の記述箇所を抽出した。公立看護系大学でシラバス内容を閲覧できた46大学/50大学(92.0%)のうち、用語が抽出できた大学は11大学/46大学(23.9%)であり、最も多く用いられた倫理用語は『倫理的問題(課題)』、次いで『人権』に配慮したかかわり、『尊厳』ある生き方・生活の順であった。また、シラバスに13の倫理用語が記載されている大学は、国立・公立合計88大学のうち15大学(17.0%)であり、少ない現状にあった。これらの結果については、国内学会で発表を行った。 また、上記の結果と認知症高齢者の看護を実践する臨床看護師の倫理的ジレンマおよび学習ニーズの実態を明らかにすることを目的として一昨年度に実施した認知症高齢者やその家族を看護している看護職を対象とした調査の結果を基に、認知症高齢者の看護に関する看護系大学における倫理教育に必要な教育内容を抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の教育に関する業務量の増加により研究時間の確保が困難であった。 また、認知症高齢者の看護に関する倫理教育内容の明確化を目的としたデルファイ法による調査の対象に病院に勤務する老人看護専門看護師や認知症看護認定看護師が含まれている。コンセンサスが得られるまで調査は3回を計画しているが、COVID-19の感染拡大が繰り返し起こり医療現場の逼迫による看護師の負担が大きい状況を鑑み、研究期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
老人看護専門看護師や認知症看護認定看護師および老年看護学や看護倫理の授業を担当する大学教員を対象として、認知症高齢者の看護に関する倫理教育内容の明確化を目的としたデルファイ法を用いた調査を行い、最小限必要不可欠な教育内容を精選していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
デルファイ法による質問紙調査を計画し計上していたが、研究代表者の研究時間が確保できなかった状況とCOVID-19の影響も加わり研究が遅れ、次年度使用額が生じた。令和5年度は持ち越した助成金を使用し、質問紙調査を実施する。
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