研究課題/領域番号 |
19K24206
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
梅津 千香子 福井県立大学, 看護福祉学部, 助教 (20726450)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / 訪問看護 / 終末期 / 緩和ケア |
研究実績の概要 |
COPD患者数は、喫煙率が70%を超え続けた1987年以前の20歳代人口が75歳を迎える2042年まで増加すると見込まれる。終末期にある患者の緩和ケアにおいて、ホスピスや緩和ケア病棟の利用は、末期がんと後天性免疫不全症候群に限られており、終末期にあるCOPD患者は病院で緩和ケアを受けることが困難な現状である。在宅医療の充実と在宅移行の推進に伴い、在宅で終末期を迎えるCOPD患者は増加すると推測され、訪問看護師による支援の重要性が増している。本研究は、北陸地方の機能強化型訪問看護事業所に勤務する訪問看護師を対象に半構造化面接を実施し、グラウンデッド・セオリー・アプローチ(Strauss & Corbin, 1990/1999)を用いて、COPDと診断されて訪問看護を利用していた人の終末期における看護の経験の語りから、COPD患者の終末期における訪問看護師の支援モデルを構築する。これにより、終末期に生じる苦痛の緩和をはかりながら、暮らし慣れた環境で療養すること、QOLの維持に向けた具体的な看護支援を提供できるようにするとともに、全ての在宅療養者とその家族が一定の水準の支援を受けられる訪問看護師の実践に向けた理論的枠組みを提示する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の対象は、北陸地方の機能強化型訪問看護事業所に勤務し、COPDと診断されて訪問看護を利用しながら自宅療養していた人の終末期における看護を経験した訪問看護師のうち、訪問看護師歴3年以上の訪問看護師10名程度としている。北陸地方(福井、石川、富山、新潟)の機能強化型訪問看護事業所を把握するために、地方厚生局へ情報開示請求を行い、福井県、石川県、富山県、新潟県の機能強化型訪問看護事業所15か所を把握した。このうち13か所へ調査協力を依頼したところ、調査対象がいない、インタビューを受ける時間の確保が困難との理由から、調査協力の承諾を得られた訪問看護事業所は2か所であった。さらに、令和元年度は5名のインタビュー調査の実施を予定していたが、新型コロナウィルスの影響で、インタビュー調査の実施時期に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、8名の研究協力者を募り、半構造化面接を実施する。北陸地方の機能強化型訪問看護事業所を対象としてCOPD患者の終末期における訪問看護師の支援モデルを構築するために必要なデータが得られない場合は、機能強化型訪問看護事業所に加えて、病院併設訪問看護事業所、24時間対応体制加算、緊急時訪問看護加算の算定指定訪問看護事業所を対象とする。さらに、対象圏域を東北地方へ広げて調査協力を得ることにより、本研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は、人権擁護・倫理委員会への倫理審査申請と地方厚生局への機能強化型訪問看護事業所の開示請求の実施、および調査対象施設への調査協力の依頼に留まっており、訪問看護事業所での調査を実施していない。このため、半構造化面接調査費、逐語録作成費の発生はなく、次年度使用額が生じた。令和2年度は、8名の研究協力者を募り、北陸地方(調査協力者数を確保できず、調査の対象圏域を広げる場合は東北地方を加える)の機能強化型訪問看護事業所への調査協力依頼書類の印刷・郵送費、半構造面接調査費、逐語録作成費、国内学会旅費として次年度交付内定額と合わせて使用する。
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