本研究では医療職介護福祉職別のシーティングに対する知識と意識を明らかにすることを目的とした。方法:対象者はA県内の在宅関連施設を無作為に選定し、その施設に所属し車いすを使用する医療・介護福祉職者850名にアンケート用紙を配布した。期間は令和2年8月~令和3年1月とした。データ収集は無記名自記式質問紙を配布し、郵送法により行った。調査項目は性別や経験年数などの属性、褥瘡に関する知識と意識、シーティングに関する知識と意識などであった。分析:欠損値を除いた687人を分析対象とし、カイ二乗検定を行った。また、SPSS Institute Ver.27を使用し、有意水準は5%とした。結果:A県内の在宅関連施設24施設に900枚配布し、721枚回収した(回収率:80%)。対象者の特徴は、医師12人(1.7%)、看護師155人(22.5%)、介護支援専門員76人(1.1%)、PT54人(7.8%)、OT20人(2.9%)、ST4人(0.6%)、介護福祉士258人(37.4%)などであった。全体の平均年齢は44.75歳、シーティングを知っていると回答した人は197人(28.6%)であった。医療職と介護福祉職を比較した結果、有意な差が認められた項目は、「座位時に臀部の圧迫を除去する(p<0.001)」「圧迫部の皮膚のマッサージは行わない(p<0.001)」「撥水性のクリームを塗布する(p<0.001)」「褥瘡の消毒はしない(p<0.001)」「褥瘡部を乾燥させない(p<0.001)」「褥瘡予防のために円座を使用しない(p<0.001)」であった。シーティングに関して知っていると回答した人は約3割であったことから医療職・介護福祉職ともに認識が低い。シーティングの知識と意識について医療職と介護福祉職を比較した結果有意な差が認められた。
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