本年は性成熟期女性を対象としてた文献検討について集約した。その結果、コロナ禍でオンライン診療が普及し、健康に関する情報提供が増加していること、日本においてもオンライン診療やオンライン相談へのニーズが高まり、活用されている実態が確認された。また、オンラインでの介入にも効果があることが確認された。 一方、友人との会話の機会が減り、特に健康に関する悩みは家族に相談することから、性成熟期女性に対する母親からの影響が確認された。これらの先行研究による知見と、本研究課題において、これまでの調査で示された、母親は娘への支援に不安を抱えていること、母親と専門職との対話は娘との会話のきっかけになることなどの知見を参考に、本年は母娘世代間伝達を活性化するためのインタビューを行った。 本年のインタビューでは母親が娘との日常的な会話に加え、妊娠や出産、避妊や性感染症予防、子宮頸がんワクチン接種やがん検診に対し、会話を持つきっかけを振り返り、日常的にどのようなタイミングで何を伝えているかをより具体的に明らかにした。 これらの母娘の語りをデータとしてまとめ、公開することは、娘にどのようなタイミングで何を伝えるか悩んでいる母親の参考になるものである。 当初、本研究課題では、オンラインで簡便に相談できるような支援プログラムを作成することを目標としていた。しかし、コロナ禍でオンラインでの健康情報や相談窓口が増加し、その選択に悩むため、専門家と直接話す機会を持ちたいというニーズの変化が確認されたため、本研究課題では、現在の母娘の支援ニーズに即した支援プログラムを作成するために、母娘の対話を促進するための専門家の介入をすること、現在行われている母娘の健康に関する世代間伝達の実際の語りを、それぞれの物語として公開するという支援方略の開発へと変更した。 今後、本研究課題の成果をより広く公開し、効果を検証することが課題である。
|