本研究の目的は、J-PAD(小児用退院支援スクリーニングシート:Japanese Pediatric patients Assesment tool for Discharge planning)の妥当性を検証し、J-PAD 改訂版の作成ならびに改訂版の妥当性検証を行うことである。小児病棟に入院した15歳未満の患児204名を対象にJ-PADを試用した。入院時、入院3日後、退院時、退院1か月後の時期に、電子カルテや郵送法によりデータ収集を行った。J-PADのスクリーニング合計回数は、287回であった。データ解析の結果、患児の退院困難の有無とJ-PADの項目「メンタルの問題を抱えた養育者」「子どもの状況をありのまま受け入れられない養育者」などの項目で有意差が見られた。 J-PAD改訂版の作成について、入院中、早期に退院支援の開始が重要であるため、J-PADを用いたスクリーニングは入院後3日以内としているが、入院3日以内に得られる情報には限りがあり、特に社会的要因に関しては、情報が得られた患者は1名であった。J-PAD改訂版では、入院初期では得られない情報は削除した。 退院支援の必要性の有無と、J-PADへのチェックの有無について、相関分析やカイ二乗検定を実施した結果、有意な結果が得られたことにより、J-PADの妥当性がある程度評価可能な結果が得られた。今後は、高度急性期の医療を担う他施設において、J-PADのさらなる妥当性評価を検討することが課題である。また、小児患者だけではなく成人患者や高齢者の患者にも応用可能なスクリーニングシートに洗練することが課題である。
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