本研究では、小児慢性疾患患者の成人移行期支援における親子システムへのアプローチへ向けた示唆を得るため、小児慢性疾患患者の親へのインタビュー調査を行った。21名の小児慢性疾患患者の親へのインタビュー調査を行い、データを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。小児慢性疾患患者の疾患管理の自立に向けた親の思いとして4つのカテゴリーが抽出され、親の関わりとして、5つのカテゴリーが抽出された。小児慢性疾患患者の親は、思春期の患者に一歩進んだ疾患説明を行いながらも、患者が疾患について多くを知ることへの迷いを感じていた。その背景として、患者への心理的影響への懸念と、親が疾患やリスクを受容することの難しさが挙げられた。また、思春期の小児慢性疾患患者への妊孕性、妊娠・出産に関する情報提供について、13のカテゴリーが抽出された。思春期の小児慢性疾患患者への妊孕性や妊娠・出産に関する情報提供においては、適切なタイミングを測ることが重要であり、医療者は、リスクに対する親の理解度、親子コミュニケーションの度合いを確認することが重要であることが明らかになった。また、親の思いに配慮しながらも、患者の希望を尊重した情報提供を行うこと、患者の性別を考慮し、妊孕性や妊娠・出産に関する情報を受けとる準備状況、患者が描く将来像を把握して親と共有していくことが必要であると示唆された。
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