近年、がんゲノム医療が加速している。がんは中高年のみの病気ではなく、若い人々を含めた国民全体の課題である。世界的にゲノム情報を用いたPrecisionMedicineが提唱され、本邦でも2018年よりがんゲノム医療中核拠点・連携病院が選定され、ゲノム医療が拡大している。現在のがん教育は、予防やがん検診を中心としたものが多く、ヒト遺伝学やゲノム医学を扱う機会が少なく、リテラシー向上は急務である。本研究では、一般市民を対象とした継続的な質問紙調査を実施することとし、得られた知見をもとにフィードバックを行い、健康管理やがん予防に繋がる適切な方策を明らかにする。
2019年度は一般市民への広報ツールの作成、講演会やフォーラム実施のための情報収集、質問紙調査の準備及び検討、市民啓発の取り組みに関する報告を学術集会で発表した。 2020年度はCOVID-19の影響を受け、当初の予定に反して計画に遅れが生じて一部研究計画を再考した。市民向け公開講座「吉備創生カレッジ」での講義や科学技術振興機構主催のサイエンスアゴラにて「Genetic Cafe遺伝を知ろう!」を開催し、対象者に対して質問紙調査を行った。また、乳がんに関するYou Tube動画「BC Tube」とコラボレーション動画作成や遺伝啓発プロジェクトとして「Genetic Cafe」の商標登録も行った。 2021年度はCOVID-19の影響を踏まえて再考したプログラムで昨年と同様の市民向け公開講座「吉備創生カレッジ」での講義に加えて研究班による交流会の講義を行った。さらに、雑誌や学会で成果報告した。 2022年度は、対象者を広げて、高校生や大学生に対する遺伝啓発プロジェクト「Genetic Cafe」を6回実施した。形式は対面、Web、メタバースを用いた取り組みも行った。
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