研究課題/領域番号 |
19K24230
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
本田 由 (尾崎由) 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (00850653)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
|
キーワード | 術後せん妄 / 自閉症スペクトラム症 / ロゼレム予防投与 / 全身麻酔 / 睡眠障害 / 睡眠周期 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、特定臨床研究として長崎大学臨床研究審査委員会の承認および研究機関の長の許可を得た。特定臨床研究として申請するにあたり、交付申請書に記載した研究実施計画を以下のように改変する必要があった。具体的には、研究対象施設を長崎大学病院に加えて諫早総合病院歯科と佐世保市総合医療センター歯科の3施設とし、各実施医療機関機関で全身麻酔下で歯科治療、口腔外科処置を行う12 歳以上60 歳以下の自閉症スペクトラム症の患者で、不眠症の診断でロゼレム以外の薬剤で内服治療を行っている患者、および過去に睡眠障害と診断された既往は無いが、入院前にアテネ不眠尺度で4点~5点の「不眠症の疑いあり」あるいは6点以上の「不眠症の可能性が高い」患者を対象とすることとした。研究同意を得た患者に対し、メラトニン受容体アゴニスト(ロゼレム)を持参薬に上乗せして追加投与する実験群に割り付けられた患者は、全身麻酔7日前から術後7日後までロゼレム1回8mgを14日間、就寝前(20:00時)に持参薬の不眠治療薬と一緒に経口投与する。ロゼレムを不眠症治療薬に追加投与しない対象群に割り付けられた患者は、持参薬の不眠症治療薬のみを全身麻酔7日前から術後7日後まで連続して14日間、処方どおり経口投与することとした。各群45例でサンプルサイズを設定し、全体で90例を設定した。以上の研究計画を2020年9月に論文タイトルStudy on the preventive effect of ramelteon on the onset of sleep disorder after general anesthesia in patients with autism spectrum disorderとして英文雑誌Medicineに誌面報告した。現在、対象患者の睡眠データの収集および解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は、特定臨床研究として長崎大学臨床研究審査委員会の承認および研究機関の長の許可を得たため、研究を開始している状態である。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大により各実施医療機関において診療制限が生じている影響もあり、全身麻酔下歯科治療のような緊急性のさほど高くない処置を実施困難な状況であったため、研究対象患者を確保できず、本研究課題の進捗状況はやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大により各実施医療機関における診療制限が続くが、限られた症例の中でもできる限り研究対象患者の確保に務める。 研究同意を取得した患者に対しては、コンピュータソフトによりロゼレム追加投与群とロゼレム非追加投与群の2群に1:1 の割合でランダムに割り付ける。ロゼレムを持参薬に上乗せして追加投与する実験群に割り付けられた患者は、長崎大学病院では、精神科外来を受診し主治医よりロゼレムを処方し、諫早総合病院および佐世保市総合医療センターでは、内科・小児科あるいは精神科の主治医よりロゼレムを処方する。全身麻酔7日前から術後7日後までロゼレム1回8mgを14日間、就寝前(20:00時)に持参薬の不眠治療薬と一緒に経口投与する。ロゼレムを不眠症治療薬に追加投与しない対象群に割り付けられた患者は、持参薬の不眠症治療薬のみを全身麻酔7日前から術後7日後まで連続して14日間、処方どおり経口投与する。主評価項目は、全身麻酔後3日~5日以内に起こるノンレム・レム睡眠障害の発生割合とする。腕時計型(Xiaomi Mi Smart Band4 活動量計:最大20日間分の充電可能)あるいはマット型(タニタ社製、スリープスキャン、SL503)の睡眠周期評価計を用いて術前7日前から、術後の第7病日までの計14 日間に自宅および病棟のベッドサイドで睡眠周期を連続的に評価する。機器により体動と呼吸を総合的に判断して、周術期の睡眠の各相(睡眠周期、浅い睡眠、深い睡眠の出現率、および入眠時間、総睡眠時間)を測定する。副次的評価項目は、概日リズム睡眠障害の発生割合(眠気や強い倦怠感を伴う睡眠相後退症候群などの発生割合)とする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により研究対象患者の確保が遅延している影響もあり、次年度使用額が生じたため、滞っている対象患者への謝金の支払いに使用する予定である。さらに、本研究課題の研究成果は国内外の学会などで発表を行い、データの総括が終了した後は関連学会の国際学術雑誌に英文論文として誌面報告するため、学会参加費や論文投稿に必要な経費として使用する予定である。
|