本研究の目的は、NICUにおける母乳育児支援に特化した能力を明確化・共通化し、NICUの看護職の母乳育児支援ラダーを開発するための基礎資料とすることである。 研究参加者7名に対して、面接調査を行った。面接内容は、NICUで働く看護職に必要な母乳育児支援に関する能力とし、NICUの母乳育児支援に必要だと思うこと、必要と考える理由、必要と考える場面、大切にしている方針のために実践していること、どのようなことができていれば母乳育児支援ができていると思うか等を尋ねた。 事例ごとに逐語録を作成し、母乳育児支援に必要な看護職の能力を語っている部分を抽出し、意味内容の類似するものを集めてコードとした。さらに意味内容を検討して抽象度を上げ、26のサブカテゴリと、8のカテゴリを抽出した。カテゴリの内容をもとに、自己の成長を促す能力、母子への直接支援をする上での能力、チームで働く上での能力の3つに分類した。 自己の成長を促す能力として、【母乳育児支援の基礎的知識を身につける】、【母乳育児支援に向けて自己研鑽に励む】、【母乳育児支援の経験を重ねて知を獲得する】が明らかになった。母子への直接支援をする上での能力として、【母と子の関係づくりを支援する】、【母と子に合った授乳を行えるよう支援する】、【母親が母乳育児の醍醐味を感じられるよう支援する】、【母親が母乳分泌を維持していけるよう支援する】が明らかになった。チームで働く上での能力として、【母乳育児支援に関わる職種で協働し切れ目のない支援を行う】が明らかになった。 これらの能力は、NICUの看護職に必要な母乳育児支援の能力として、母乳育児支援ラダーを開発するための基礎資料になりうる。今後は、これらの能力をもとに、NICUにおける母乳育児支援ラダーを開発することが課題である。
|