研究課題/領域番号 |
19K24239
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
花房 謙一 目白大学, 保健医療学部, 教授 (70846865)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 肺炎 / クリニカルパス / リハビリテーション / 日常生活動作 / 自宅復帰率 |
研究実績の概要 |
令和元年度は,日常生活動作(以下,ADL)の改善に着目した肺炎患者のリハビリテーション(以下,リハ)クリニカルパスを作成するために,基礎資料収集を研究の目的とした. 本研究の意義は,肺炎の診断で自宅から入院した患者の現在のリハの取り組みと自宅復帰率の状況を明らかにすることにより,クリニカルパスに取り入れるべき課題を明確にすることであった. 方法は,急性期病院81施設に勤務する作業療法士に対して,アンケート調査を実施した.アンケート内容は,リハ職種の介入頻度,内容,在院日数,転帰先等であった.結果は,回収率26.0%(21/81)であった.回収されたアンケートのうち,内容に不足がない17施設を分析した.理学療法(以下PT)の介入頻度は週5日以上が12施設,週2~4日が5施設,作業療法は(以下OT)は週5日以上が8施設,週2~4日が8施設,未介入が1施設であった.言語聴覚療法(以下ST)は週5日以上が3施設,週2~4日が10施設,未介入が4施設であった.リハの内容は,PTが呼吸練習,関節可動域練習,筋力練習,歩行練習,ADL練習が多く,OTはADL練習,手段的ADL練習,STは摂食・嚥下練習,家族指導が多い状態であり,施設による相違は認めなかった.自宅復帰率は,50%未満の施設が3施設,50%以上70%未満の施設が5施設,70%以上の施設が9施設であった.統計分析の結果,自宅復帰率に対して在院日数のみ負の相関が得られた. 本研究の重要性は,自宅復帰率を向上させるためのリハの取り組み,介入時期や頻度が明確になれば,急性期病院から自宅退院できる患者が多くなる可能性が挙げられる.自宅復帰率の向上は,転院を繰り返す患者の医療費削減だけでなく,新型コロナウイルスでも問題となった入院ベッドの稼働率にも貢献し,十分な医療が必要な重症者を受け入れる余裕を医療従事者へ生み出すことにつながることである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は,新型コロナウイルスが蔓延しておらず,肺炎患者の調査に対して施設の協力が得られやすく,おおむね計画通りに研究を進めることが可能であった.しかし,令和二年度は新型コロナウイルスの蔓延により,臨床研究を進めることが難しいと予測される.その理由は,令和二年度の研究が肺炎患者に対する介入研究であり,施設に協力を依頼することが難しくなると予測されるからである.
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今後の研究の推進方策 |
令和二年度は,新型コロナウイルスの終息次第,すぐに研究が開始できるように研究手順等を見直し,期間の短縮や介入そのものの短縮または,対象の変更等を考慮し,柔軟な対応に努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査に必要な郵便・運搬費が予定した金額よりも少なくなったため,次年度に繰り越す金額が生じた.この金額は,次年度に研究協力を依頼する書類を郵送するために必要な郵便・運搬費として使用を計画したい.
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