研究課題
今年度は、うつ病の予防対策として生活習慣(食事・運動要因等)と精神健康の関連を明らかにすることを目的とし、以下の研究を実施した。まず、前述した目的を達成するために、日本人を対象とした前向き職域栄養疫学研究のデータベースの構築に取り組んだ。これまでに関東地方の企業の従業員(約2800名)を対象として定期健康診断時に栄養、抑うつ症状、運動などに関する自記式調査、採血(研究のための針刺しは実施せず)を2012-13年(ベースライン調査)、2015-16年(3年後調査)、2018年(6年後調査)に実施していた。2019年4-5月に上記と同様の調査を6年後調査として実施した。データクリーニングを行い、ベースライン調査と追跡調査のデータを連結し、6年間にわたる前向き職域栄養疫学研究のデータベースを構築した。次に上記のデータベースにて、食事の抗酸化能と抑うつ症状発症との縦断的な関連を分析した。この結果は「Prospective study on the association between dietary non-enzymatic antioxidant capacity and depressive symptoms」として国際英文雑誌Clinical Nutrition ESPENに掲載された。本研究は食事の抗酸化能と抑うつ症状との関連を検証した初めての縦断研究である。本研究結果は第30回日本疫学会にて発表した。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り、職域栄養疫学調査を実施し、6年間にわたる前向き職域栄養疫学研究のデータベースを構築したこと、そして研究により得られたデータベースにて研究課題である食事の抗酸化能と抑うつ症状発症との縦断的な関連を分析し、「Prospective study on the association between dietary non-enzymatic antioxidant capacity and depressive symptoms」として結果が国際英文雑誌「Clinical Nutrition ESPEN」に掲載されたことから判断するものである。
今後は、研究に伴い得られたデータの解析及び論文執筆を行う。また、得られた知見を国内外の学会にて発表する。
研究に関わる文書作成、データ入力等の作業を行うためにノートパソコン等の支出を予定していたが、2019年度は購入を行わなかったため、2020年度に購入を予定している。また今年度は研究に伴い得られたデータの解析及び論文執筆を行い、研究成果をオープンアクセス等の国際誌に投稿する予定である。また、得られた知見を国内外の学会にて発表する予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Clinical Nutrition ESPEN
巻: 36 ページ: 91-98
10.1016/j.clnesp.2020.01.010