研究課題/領域番号 |
19K24251
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 宏子 (岡田宏子) 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30849352)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 多職種協働 |
研究実績の概要 |
本研究は、人生の最終段階における医療に関する意思決定プロセスである「アドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)」を患者を含む多職種間コミュニケーションに基づいた実施を促進するめに、①その実態と構造、関連する要因を明らかにし、②患者を含む多職種協働体制でのACPを可能とする医療者、患者双方におけるコミュニケーションスキルの指標とコミュニケーションモデルを構築することを目的として実施している。初年度である2019年度後半の半年間は、まず「ACPにおける多職種連携の実態調査 」に向けての情報収集として、先行研究のレビューを行った。これにより、特に医学教育の分野では「多職種連携教育」が推進されており、その方法も徐々に確立されつつあることが分かった。一方でその中に患者を入れたコミュニケーションまでには発展しておらず、本研究の目指すところである「患者を含めた多職種連携コミュニケーション」の構築の意義がより明確となった。 続けて、患者を含めた多職種連携でのコミュニケーションモデル、及びスキルの構築に必要な変数や項目を抽出するため、ACPに関する研究者3名、倫理学の専門家1名、先駆的にACPを多職種で行っている医療者4名へのインタビュー調査を行った。その結果から実態調査で調査する項目を抽出し、調査票を作成した。また、先の文献レビューで医学教育における「多職種連携教育」の方法論が本研究におけるモデル構築の重要な一面となる可能性があることがわかったため、今後この分野の専門家へのインタビューも予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実態調査前の医療者へのインタビュー調査の調整に時間を要した。また年度末には実態調査を開始する予定であったが、新型コロナウイルスの流行に伴い、各方面への出張や会議が難しくなり、調査フィールドの調整が進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの流行に伴い、会議や対面でのインタビュー調査については以下の通りテレビ会議システムを利用する方向へと計画を変更した。 ACPを実践する医療者を対象にした多職種間コミュニケーションの内容や頻度、構造等の実態、施設での実施体制や、多職種連携に関する認識・バイアス、チームコミュニケーション能力などについて調査する予定である「ACPにおける多職種連携の実態調査」についてては、テレビ会議システムを使用してフィールド調整をしており、今年度前半で実施する予定である。 高度実践者、及びACP関連の研究者を対象にした「コミュニケーションモデル」の概念、「コミュニケーションスキル集」の項目を抽出する目的で行う「インタビュー調査」についても、テレビ会議システムと、そのレコーディングシステムを使用して実施するものへの計画変更した。 抽出された概念やスキルの項目を洗練するためのデルファイ法調査については、今年度中ごろに実施し、結果のまとめ、それに対する専門家のスーパーバイズについても、メールベースやテレビ会議システムを使用して実施する。 なお、今後の社会の状況に伴って上記計画についても修正していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
横断調査の開始が遅れたため、フィールド調整のための会議開催に使用予定であった旅費や会場費、調査協力者への謝礼などのための予定額が未使用となった。次年度、調査を実施予定であるため、そのフィールド調整のための会議や協力者への謝礼などに使用する予定である。
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