研究課題
本年度は、3次元培養にて導出リンパ管作製を目指した。具体的にはまず、脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いて、三次元培養にて毛細リンパ管作製を行った。3次元培養の手法として、細胞表面にフィブロネクチンとゼラチンをコーティングし、細胞を積層させるLayer-by-Layer(LbL、細胞積層法)を用いた。しかしながら、LbL後、3日間サンプルをインキュベーションすると、細胞はほとんど死んでしまい、多層構造とならず、組織学的な評価も困難であった。これを解決するために、LbLのプロトコルの見直しと改良を行った。具体的には、細胞比率、使用細胞種、コーティング、使用培地について、条件検討を行った。その結果、播種した細胞のほとんどが生着し、多層構造をもつ立体組織を構築できた。脂肪組織由来間葉系幹細胞が多すぎる場合、細胞同士が接着せず、浮遊して細胞死に繋がってしまうことが考えられた。細胞死に対する問題はクリアできたため、現在は、より管腔形成を促進する条件の検討を行っている。作製した組織は、リンパ管内皮細胞マーカーであるLYVE-1のホールマウント染色と免疫染色を行い、管腔形成の評価を実施している。これと同時に、導出リンパ管作製の条件検討も実施している。導出リンパ管作製のためには、培養毛細リンパ管の管腔周囲を1~2層程度の平滑筋細胞が取り囲む必要がある。平滑筋細胞、脂肪組織由来間葉系幹細胞の共培養を行うため、使用培地、細胞比率、培養期間について条件検討を行っている。
2: おおむね順調に進展している
3次元培養において、細胞死が多い原因が特定でき、解決方法を見つけられたため、次のステップへと進むことができている。
基本的に、当初の計画通りに進める。導出リンパ管を作製し、その後培養上清の網羅的解析を行い、リンパ管形成に関わる因子を同定する。
2020年3月8~12日に予定していた国際学会(World Union Wound Healing Society 2020)の開催が2021年9月へ延期となり、学会へ参加する必要がなくなったため、この期間に実験を行うための消耗品を購入し、その結果、85,293円の未使用額が生じた。この未使用額は、初代培養細胞1バイアル程の価格である。次年度、初代培養細胞1バイアルを追加で購入し、実験は申請計画通りに進め、必要となる成長因子や抗体、培地、フラスコ等の消耗品の購入に充てる予定である。
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https://wmn.w3.kanazawa-u.ac.jp/