研究課題
1.3次元培養によるリンパ管作製:脂肪組織由来間葉系幹細胞をC57BL6/Jから単離培養し、細胞積層法を用いて三次元培養にて毛細リンパ管作製を行った。細胞積層法とは、細胞表面にフィブロネクチンとゼラチンをコーティングし、細胞を積層させ、三次元培養を可能にする手法である。昨年度、細胞積層法を用いてリンパ管作製を試みたが、死細胞の割合が多く、これを改善するためにプロトコルの見直しを図った。今年度は、生細胞の割合増加を図るため、カルチャーインサートへの細胞接着率の向上、支持細胞として線維芽細胞との共培養、培地の配合等を検討し、安定してリンパ管が作製できるプロトコルを確立した。2.リンパ管の立体構造の評価:リンパ管の管腔構造を立体的に観察するため、培養したサンプルをリンパ管内皮細胞マーカーであるLYVE-1の抗体を用いてホールマウント染色を実施し、共焦点蛍光顕微鏡にて観察した。しかしながら、ホールマウント染色では、LYVE-1の非特異的反応が強く、別のリンパ管内皮細胞マーカーであるPodoplaninを用いて立体構造の評価を実施している段階である。3.導出リンパ管あるいは集合リンパ管の3次元培養:細胞比率、培地の配合等について検討中である。4.リンパ管形成に関わる因子の探索:リンパ管内皮細胞からmiRNAを抽出し、これを培地に添加することでリンパ管形成が図られるか検討した。現在、具体的な因子を絞り込む段階であるが、市販のリンパ管内皮細胞の生存率・増殖率が悪く、この原因について調べているところである。
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