凍死の解剖事例の特徴的な所見の一つ、Wischnewski斑という、主に胃粘膜に発見される微細な出血点に研究者等は着目した。この現象は低体温症との関係の解明はヒト低体温時生理かつ病理的な変化への理解に繋がる。成年ラットの胃を単離し、スライス培養法という手法を用いて、研究者等mRNA、タンパク質レベルを検討したところ、低い温度群で胃酸分泌に関わった遺伝子の発現が上昇した。この結果はScientific Reportsに認められ、論文を雑誌に掲載された。 研究成果の意義:ここ数年、Wischnewski斑は症例報告レベルで糖尿ケトアシドーシスとの関連性が散見される。この研究の最初の目的にも設定されていたが残念ながら症例の集りが悪く実行に至らず。この研究は、動物モデルを用いて死体現象の原因を究明しメカニズムを考えた。これから凍死関連の研究、そしてもしかしたら糖尿ケトアシドーシスの研究に新たな方向性を与えるかもしれない。
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