研究課題
患者や現地医療従事者へのヒアリングにより、Zoomを用いての介入を好ましく感じていることが把握できたため、オンラインビデオ会議による介入(tele-Indo-DARPP)に変更し、実施することとした。パイロット介入として、Cipto病院にて、薬物依存症をもつ者(n=9)をリクルートし、介入群5名にはtele-Indo-DARPPを、対照群4名には対面による通常通りの治療を3ヶ月受けてもらった。各群とも終了までに1名が脱落した。治療終了時まで残った介入群4名へのインタビューの結果、実施可能性に関しては、医療機関への移動にかかる時間や費用が節約できること等から好ましい回答が得られた。また、内容適切性に関しても、ピアカウンセラーの参加により違法行為や親しい人物との死別など、開示しにくいテーマであってもグループ内で話すことができるなど、良好であった。一方で、電子機器のトラブルによる接続不良やテキスト内に使用した専門用語が一部難解であるなどの課題も明らかになった。本試験実施のため、3病院、3リハビリテーション施設、2保健センターの医師、心理士、ピアカウンセラー計33名にファシリテータになるための研修を提供した。 さらに、パイロット試験の結果および研修会に参加した保健医療従事者からのフィードバックをもとにワークブック(B4サイズ、200ページ、インドネシア語)を完成させ、インドネシア大学出版協会から出版した。初版は3200部作成し、全国の患者、家族、および依存症関連施設に領布している。さらに、現在は患者を全国から160名リクルートしてのRCTによる効果試験を実施しており、そのプロトコルはBMJ Openに投稿し、査読結果を待っている。2021年4月現在、ウェーブ1(80名)へのベースラインデータ収集が終了している。
1: 当初の計画以上に進展している
当初計画通り、ワークブックの刊行、本試験に参加する現地保健医療従事者への研修、および研究参加者のリクルートが実施できた上、当初はジャカルタのみで実施する予定だった臨床研究を、アチェ州に広げ、また対象者数も拡大し、実施することができているため。
今後は、3ヶ月間の介入およびその後3ヶ月間のフォローアップにより、tele-Indo-DARPPの効果検証を行い、その結果を論文および学会で発表していく予定である。
現在進行中の8機関共同での臨床試験を継続実施する予定であり、そのための謝金や物品購入が必要であるため。また、次年度は成果公表のためにも予算が必要であるため。
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