研究課題/領域番号 |
19K24258
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
釜野 桜子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (00612574)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 慢性炎症 / 食事 / 朝食欠食 / 睡眠時間 / ストレス / メタボリック症候群 / 出生情報 |
研究実績の概要 |
生活習慣病発症のリスクである慢性炎症状態と出生情報や食事、ストレスとの関わりを明らかにすることは、その後の健康維持のために重要な知見となる。本研究では、コホート研究に参加している日本人中高年を対象に、胎児期環境および成人後の食事・ストレス状況の慢性炎症状態への相互作用を疫学的アプローチにより解明することを目的としている。 令和元年度は、予定していた日本他施設共同コーホート研究(J-MICC Study)徳島地区調査参加者を対象とした追跡調査を終了することができた。 慢性炎症はメタボリック症候群の発症に関連していると報告されている。今回、慢性炎症の病態解明に寄与すると考え、メタボリック症候群をアウトカムとして解析を行った。曝露要因は食事要因として朝食摂取状況(摂取の有無)、また睡眠時間(短時間、中程度、長時間)やその他の生活習慣要因を検討した。結果、ほとんどが朝食摂取者であり、短時間睡眠者は約12%、長時間睡眠者は約18%であった。解析の結果、朝食欠食と睡眠時間(特に短時間睡眠)がメタボリック症候群の有病率と関連していることを見出した。男女別に解析すると、女性より男性の方が関連は強く、男性においてメタボリック症候群の有病率が高いことやハイリスクな生活習慣者の割合が高いことが理由として示唆された。主観的ストレスの影響を検討したところ、これらの関係を修飾してはいなかった。本結果は第78回日本公衆衛生学会学術総会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は予定していた日本他施設共同コーホート研究(J-MICC Study)徳島地区調査参加者を対象とした追跡調査を無事に終了することができた。返信率は約90%であった。 研究成果については、慢性炎症と関連するメタボリック症候群に着目した解析を実施した。朝食欠食および睡眠時間とメタボリック症候群の有病率との関連について明らかにし、学会発表をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度も追跡調査を継続して実施し、出生情報やより詳細なストレスのデータを整備し、慢性炎症との関わりについてより詳細に検討していく。また、hs-CRP以外の炎症性バイオマーカーの検討も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は年度末に予定していた出張が中止となり、予定通り旅費が使用できなかった。また研究補助者にデータ入力を行ってもらう段階まではいかなかったため、人件費に未使用が生じた。次年度請求額とあわせて、令和2年度に実施する郵送調査の印刷費用と、追加データ解析ソフトウェア等の購入に使用する予定である。
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