研究課題/領域番号 |
19K24259
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
齊藤 貴文 九州大学, 基幹教育院, 学術研究者 (10849904)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 疼痛 / 慢性疼痛 / 痛みの数 / 侵害受容性疼痛 / 神経障害性疼痛 / フレイル |
研究実績の概要 |
痛みの数の増加に伴う身体的、心理的および社会的因子との関連性が明らかとなってきている一方で、慢性疼痛を症状のタイプ別に検討した疫学研究はまだまだ少ない。近年、Apkarianら(2010)は末梢器官の機能障害モデル(The end-organ dysfunction model:EODM)と中枢神経システムのプロセス変調モデル(Altered nervous system processing models:ANSPM)の2つの異なる概念モデルを紹介している。 本研究は、EODMモデルである侵害受容性疼痛とANSPMモデルである神経障害性疼痛を区別できるスクリーニングツールであるpainDETECTを用いて、痛みの数と侵害受容性疼痛および神経障害性疼痛との関連性を明らかとすることを目的とした。本研究の結果、痛みの数と慢性疼痛のタイプ別の関連性が明らかとなることで、疼痛メカニズムに基づいた治療の展開に繋がることが期待される。 2019年は、2017年から開始された糸島フレイル疫学調査の痛みに関するデータセットを作成した。データの精度を高めるために、アンケート用紙原本とデータのトリプルチェックおよび完成されたデータを用いた基本的な記述統計によりデータに誤りがないか確認した。本研究は、全対象者1631名のうち、調査会に参加した949名を対象者とした。痛みの有訴率は63%であり、痛みの数を1ヶ所、2-3ヶ所および4ヶ所以上に群分けして、諸特性を比較した結果、痛みの数が増えるほど、女性、肥満者が多く、神経障害性疼痛の有訴率が高かった。 現在、基本的な記述統計を終え、①痛みの数と神経障害性疼痛との関連性、②痛みのタイプ(侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛)とフレイルとの関連性、③痛みの数とフレイルとの関連性の解析に取り掛かっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年に開催予定であった国際疼痛学会へ演題発表予定であったが(痛みの数とフレイルとの関連性について)、新型コロナウイルス感染症の影響で次年度への延期となった。また、2020年に開催予定である米国老人学会へも演題登録しているが(痛みのタイプとフレイルとの関連性)、同様の理由で延期となる可能性がある。さらに、国内の疼痛関連学会へもエントリー予定であるが(痛みの数と神経障害性疼痛)、同様の理由で先行きは不透明である。しかしながら、解析作業は順調に進んでおり、今後は論文化の作業にも取り掛かる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年の学会発表予定が一部延期となったため、2021年へ延長承認申請書を提出予定である。今後は、詳細な解析および論文化へ向けて作業を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年はデータセット作成作業を中心に行ったため、物品の購入を主に行った。2020年は、予定通り使用予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により学会が延期される可能性が高いため、学会費用などに関しては2021年まで延長申請予定である。
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